母乳の状態が分娩直後と数日後では変化するため,薬の母乳への移行量も変わってきます.さらに母乳への薬の移行性は薬の化学的な性質も大きく影響します.薬の分子量(大きさ)や,水溶性(水に溶けやすいものか)か脂溶性(脂肪に溶けやすいものか)かによっても母乳中へ薬がどのくらい移行するかが予測できます.新しい薬などは母乳への移行性と赤ちゃんへの影響についての臨床データが得られていないものが多いので,できれば避けたほうがいいでしょう.また,新生児は薬を代謝する能力が低いため,新生児の体内に蓄積する危険性のある薬もあります.
過去からの臨床データにより,授乳中に服用しても問題のない薬があります.これらの薬は,母乳に移行するとしても微量であったり,たとえ母乳に移行しても赤ちゃんに影響を及ぼすことはないと考えられています. |